離婚するはずだったのに記憶喪失になって戻ってきた旦那が愛を囁き寵愛してきます

「……その想いは、勘違いです。　蓮斗さんは……、貴方は白鳥さんを愛していました。　きっと、記憶が混乱して、妻だと、子供が出来たと聞いたから、義務感で私を愛していると、思い込んでいるだけです」

「白鳥を？！　俺が？！　」

　瞳を見開き、ガバッと起き上がって、待て待て、と手を前に差し出すと、蓮斗さんは顔を顰めた。

「それは、絶対にない！　」

　キッパリと言い切る蓮斗さんに、ンン？！っと、今度は私が顔を顰めながら、起き上がる。

「…… 私見たんです。　記憶喪失になった後のレセプションパーティーの時、中庭で蓮斗さんと白鳥さんは、キ、キスしてましたよね？　」

「は？！　」

　蓮斗さんは、私にバレていたショックからか、フリーズして固まった。

「イヤイヤイヤ、何を見たかはわからないが、キスなど、ましてや、俺から触れたことなど指一本ない！！　」

　そう言ってから、暫く考え込んだ。

「あっ！　いや、まさかと思うが……。　中庭を横切ろうとした際に、白鳥が転びそうになった所を支えた時は、俺から触れたが…… あれは、不可抗力だ。　そういう意図ではない」

「え…… 」