離婚するはずだったのに記憶喪失になって戻ってきた旦那が愛を囁き寵愛してきます
 部屋に入って直ぐに、ソファに横たわっているシエナを見つけ、声を掛けようと駆け寄った。

  顔は青白く、チーフの言った通り、体調が余り良くないのが伺える。

 フワッと抱き上げて、余りの軽さに驚いた。

  悪阻で食べれないせいもあるが、俺の記憶喪失や失踪で、辛い思いをさせたせいもあるだろうと、申し訳なく思う。

 ベッドに寝かせると、寒かったのか、俺の手にスリっとすり寄って来た。

 温めてあげようと、隣に横たわり、眠っているのをいいことに、シエナの顔を見つめる。

 はあー......、天使か.......。

  何時間でも見つめていられる。

 暫くして、温まったのか、ほんのりと頬に赤みが差し、長い睫毛がピクピクと動いて、シエナが目を開けた。

 目が会うと、シエナは嬉しそうに微笑んで、手を伸ばすと、俺の頬に触れる。

 キュキューンッ......っと心臓が跳ねて息が苦しくなる。

 クウウウッーーー......ッ! 、天使の微笑み......!

シエナ、俺を殺す気か!!

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