離婚するはずだったのに記憶喪失になって戻ってきた旦那が愛を囁き寵愛してきます

 だが、しかし……。

 仕事の出来るチーフは邪魔だが.……。 そこは円滑な業務の為に、クッ……ッ、非常に、非常に嫌だが我慢するか……。

「持っているのは貴方を好きだと、愛しているという想いだけ……。 そんな私でもいいの……? 貴方を一番に、幸せにしてあげられる? 」

「そのままのお前で良い。 一緒に幸せを探そう。 二人で一番に幸せになろう」

 もう、愛おし過ぎて堪らない。

 まさか、女よりも仕事が生きがいだった俺が、一人の女にこんなに入れ込むなんて……。

「俺の子を産んでくれ」

 愛の結晶も大切にする。

「産むだろ? 」

 俺の愛を疑うな。

「産むよな? 」

 全身全霊で、お前達を守る。

「産まなきゃダメだ。 お前と生まれて来る子と、三人で幸せになりたい。 いや、子供はもっとだ。 四人、五人、お前との子なら何人でも」

 大きな瞳一杯に溜めた涙を零すまいと、恥ずかしそうに微笑んでシエナはコクリッと頷いた。

「産みたい。 産んでも良い……かな? ……でも、程々で、お願いします? 」

 照れて、頬をほんのりとピンクに染めたシエナに見つめられ、釣られて俺も照れる。

「…… ありがとう…… 」

 幸せを貰い心の奥底から、想いが溢れ出した。



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