離婚するはずだったのに記憶喪失になって戻ってきた旦那が愛を囁き寵愛してきます
直後、甲高い女の声が部屋中に響いて、俺達はビクリッと体を震わせた。

「産ませないわっ!! 」

 ズル…… ズル…… ズル……っと、ベットの下から身体を引き摺る音が聞こえたかと思うと、乱れ髪の女が這い出て来て、ギギギッと首動かして、こちらへ向かって近付いて来た。

「イヤァァァァーーーーッ! お、お化けっーーーーっ!? 」
「ヒッ…………ッ?! 」

何が起きたのかわからず、固まった隙に、お化け女がシエナをベットから引きずり落とした。

我に帰った俺は、慌ててシエナに駆け寄ると、ニヤリッとお化けが纏わり付いてきた。

「ああ〜んっ、私、ずっと蓮斗さんの帰りを待ってましたのよ。 なのに、ちっとも気が付いてくれなくて待ちくたびれて、眠ってしまいましたの」

何だ??

眠ってしまった??

こいつは何を言っているんだ?

いくら考えても理解が追いつかない。

悪いが、お化けには知り合いはいない。

鼻に掛かった甘ったるい声も、愛しいシエナ以外に向けらるのが、こんなに不快で気持ち悪いものだと、初めて気がついた。

「し、白鳥......さん!? 」

シエナが恐る恐るお化けを呼んだ。
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