離婚するはずだったのに記憶喪失になって戻ってきた旦那が愛を囁き寵愛してきます
 は?

 白鳥だと?!

「そうよ。 蓮斗さんを驚かそうと、ベットの下にずっと隠れていたのよ。 そしたら、あなた達の、乳繰り合う声が聞こえて来るじゃない。 イライラし過ぎて、髪を掻きむしっちゃったわ」

 マジマジとお化けを見ると、髪の隙間から除いた顔は確かに白鳥だ。

「蓮斗さんと愛し合えるように、準備しておいたわ」

 ウフフッと狂気じみて笑う白鳥に背筋が、ゾッと凍り付く。



「浮気は一度だけ許してあげる。 だからね、蓮斗さん、その泥棒猫を早く追い出しなさい!! 」

 ヒステリックには叫ぶが、眉と目尻をこれでもかと取り上げて、暴れる白鳥の方が、よっぽど化け猫の様だ。

 敵意を剥き出しにして、シエナに襲い掛かるのを、庇おうとしたその時だった。

「キーーーーッ!! 忌々しいわね! 蓮斗さんが気にする事なんてないわ! 貴方がやらないなら私が!! 」

「……ッシエナ! 」
 
 マジか……!?

 それは、一瞬の出来事だったが、まるでスローモーションのように目に映った。

「ガンッ……ッ!! 」

 直後、鈍い衝撃を受けて、目の前が真っ暗になった。




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