離婚するはずだったのに記憶喪失になって戻ってきた旦那が愛を囁き寵愛してきます

「シエナ、シエナ……ッ！　」
　
　彼女の顔を見た瞬間、バラバラだったパズルのピースが全て、カチリッと嵌まった様な気がした。

　ああ、そうだ俺は何でこんなにも愛しい人の事を、忘れていたんだ……。

「ここ、タンコブが出来てます…… 。　他は？　怪我してない？　」

　心配するシエナの頬に触れて、ああ……、本物だ……、と実感して胸が熱くなる。

「良く顔を見せてくれ」

　頬にかすり傷が出来て薄らと血が滲んでいた。

「ここ、血が出てる！　」

　うぬぬぬぬーーーっ！！　

　白鳥めーーーーーっ！！

　俺のシエナに傷を付けたなど、許れる事じゃないぞ！

　覚悟しておけよ！！

　ギロリッと白鳥を睨み付ける。

「私も、この子も大丈夫よ。　蓮斗さんが身体を張って守ってくれましたから」

　可愛い事を口にされ、俺の理性はプツリと切れた。

　シエナの唇を貪る様に、乱暴に舌で唇をこじ開け、口内を舌で舐め回す。
　舌を絡め取り、チュプチュプと捏ねくりまわし、歯で甘噛みして、彼女の全てを感じる。

「ふぅ……っ　んんっ……っ」

　俺のせいで、苦しそうに声を漏らす姿さえも愛おしい。

　ヤバな、俺。

　わかっているが歯止めが効かない。

　シエナが、腕の中でグッタリと、意識を手放したのに、気が付いて、やっと彼女から唇を離した。

「ちょっとーーーっ！　私の事無視して、イチャイチャするんじゃないわよーーーーっ！！　」

　煩い声が聞こえて来て、はぁーーーーっと溜息を一つ零す。

「まずはアレを、片付けないとな」