離婚するはずだったのに記憶喪失になって戻ってきた旦那が愛を囁き寵愛してきます
「母さん、シエナは跡取りを産むために、俺と結婚したわけじゃない。 何度言ってもわからないなら、生まれてくる子には、会わせない」

 蓮斗さんが私の事を気遣って、ハッキリとお義母様に言ってくれたのが、嬉しい。

「お義母様、私はこの子が産まれるまで、性別は聞く気はありません。 私達にとってはこの子が男だろうが女だろうが、可愛い我が子には変わり有りません」

「な、何を勝手な! 貴方は剣菱家の嫁として、男を産むのが仕事なのよ!! 」

 お義母様は、目尻を吊り上げ、真っ赤な顔をして、声を上げる。

「……もし、男の子じゃなかったら、お義母様は孫を、可愛がってくれないのですか? 女の子じゃ価値がないと、そう仰るのですか? そうならば、私も蓮斗さん同様、お義母様には孫をその手に抱かせるつもりも、会わせるつもりも一切有りませんので」

 母になる。

(この子と蓮斗さんを守るため、強くならなきゃ……! )

 口をへの字に強く、強く、自分の意思を伝える。

(ほ、本当は心臓バクバクだけどね…… )
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