離婚するはずだったのに記憶喪失になって戻ってきた旦那が愛を囁き寵愛してきます
「酷いわ! 私の楽しみを奪うつもりなの? 私がどんなに孫を、跡取りを楽しみにしていたかわかるの?! ダメよ! 絶対に男よ! 男の子以外、孫とは認めないわ!! 」

 ヒステリックに声を上げて、喚き散らすお義母様に、私は、小さく息を吐く。

 蓮斗さんも、眉間に皺を寄せて、首を横に振っていた。


「いい加減にしないかっ!! 」

 重低音の強い声が、部屋中に響き渡った。

 突然の大声にビクリッと、私は身体を震わせる。

「……何よ、貴方まで…… 」

 不満そうに、お義母様は声の主を睨み付けた。

「……すまないな、シエナさん、蓮斗。 こいつも、悪気はないんだ。 ただな、周りの友人や、会社関係者から、孫は良いぞ、可愛いぞ。 今日は孫が来る。 出かけるんだ。 なーんて、毎日毎日毎日、自慢されるんだ! グギギギッーーーッ! この悔しさがわかるか?! 」

「お、お義父……様…… ? 」

 私と蓮斗さんは、顔を見合わせて苦笑いをする。

「あー……、まあ、なんだその…… 、ワシらも楽しみなんだ。 これからはやり過ぎない様、ワシもこれも気を付ける。 性別なんてどちらでも良い。 とにかく、元気な子を産んでくれ」

 お義父様はそう言って、ススッと、私のお腹を撫ぜようと手を差し出すが、蓮斗さんが私の腰を抱き、サッとその手を避けた。

「俺のシエナに、勝手に触れるな」

 ギロリッとお義父様を睨み付ける。

「心が狭いな、お前は」

 呆れた様に、笑うお義父様も強かった。
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