離婚するはずだったのに記憶喪失になって戻ってきた旦那が愛を囁き寵愛してきます
「立ち会い出産はするんだろう? 蓮斗は仕事で忙しいだろうから、ワシが付いててやるからな、心配せずに、海外出張でもなんでも行け、行け! 」

「はあああああーーーーーっ?! ふざけるな! シエナの全ては俺のものだ! 当然、初出産も俺が立ち会う!! 」

「…… 言い争っている所悪いんですが……、私、立ち会い出産は希望しませんよ? 」

 私の言葉に、信じられない!と、言った様に、蓮斗さんは瞳を大きく見開いて、ガクガクと手を震わせる。

「な、何故だ?! 」

「や……、さすがに無理です……。 必死でクジャクジャの私なんて、見せたくないですから…… 」

「初産は一生に一度だけだ。 ダメだダメだ! ビデオは?! 神秘の誕生は?! シエナの苦痛に歪む顔は?! 絶対に立ち会うからな!! 」

 今までで、一番必死な蓮斗さんにフフッと笑いが漏れる。

「心配するな、俺はどんな時でも、どんなシエナでも、丸ごとお前を愛すると、約束する」

「私も……。 眼鏡を掛けた、無の表情の蓮斗さんも、今の眼鏡を外して、表情豊かに愛を囁いてくれる蓮斗さんも、どちらも大切な人。 愛しているわ……、旦那様」

 チュッと頬にキスを落とした私に、蓮斗さんは耳元で囁いた。

「俺も愛している…… 。 いや、俺の方が何倍も、何十倍も愛している。 毎日、死ぬまで愛を囁いてやる。 俺に愛される覚悟は出来ているな? なあ、シエナ? 」

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