離婚するはずだったのに記憶喪失になって戻ってきた旦那が愛を囁き寵愛してきます

　赤ちゃんが産まれたらお祝いに来るね、と、マリーと約束して、俺たちは帰宅した。

　やっと、やっとお邪魔虫はいなくなり、俺達夫婦二人きり。

　安定期！　

　俺はこの日を待ち望んでいた！

　夫婦生活解禁が、医者から言い渡されたからだ！

　甘いひと時を過ごそうと、ルンルンしながら風呂の準備をする。

　アラサーの俺が、初めてする時みたいにソワソワしてしまう。

　だか、しかし……。

「今日は疲れたので、一人でゆっくりお風呂に入りたいです」

　俺の鼻先で、ピシャリッと、浴室のドアが閉められてしまった。

　何故だ……。

　シエナは俺に飽きたのか？！

　ズーンッとした気持ちで、リビングのソファに項垂れていると、俺のボディーシャンプーの香りに包まれたシエナが、戻ってきた。

　血行が良くなって、ほんのりとピンクに染まった肌が艶めかしい。

　妊娠してから、シエナは一層、色気を増した様な気がする。

「お先に頂きました。　蓮斗さんもどうぞ」

　今日は、もう諦めて寝るか……とトボトボとバスルームに向かう俺に、シエナが囁いた。

「べ、ベットで待ってるから、早く来てね」

　クウッーーーーッ、可愛いが過ぎるだろ？！
　
　なんだそれ、計算か？！