離婚するはずだったのに記憶喪失になって戻ってきた旦那が愛を囁き寵愛してきます
「…… いえ…… その…… 」
 
(な、なんて説明したら良いのかな……? )

「好きなのか? 」

 眼鏡をクイッっと上げると、ん? っと尋ねるように見つめて来る。

「あ、いえ…… こ、告白はされたんですけど……… 私的には、チーフの事は尊敬はしてますが、そう言う感情はなくて…… 良き先輩だと、思ってますが…… 」

(…… って、何でこんな恥ずかしい事、言わされてんの、私…… )

「…… が? なんだ? 」

 ズズッと更に顔が近づく。

(はわわわわーーーっ! は、は、鼻がくっついちゃいますーーーっ!! )

「…… 好きなのか? 」

「イエ…… 嫌いでは、ない、と言うか…… 」

 両手で顔を覆ったが、耳まで真っ赤なのは絶対にバレている。

(あああああぁぁーーーッ もう死ぬる…… )

「そうか…… 。 嫌いじゃないと言う事は、ただの仕事仲間と言う事だな…… 。 じゃ問題ないな 」

 そう言って、私の手を掴み、顔を晒すと、さっきチーフが摘んだ方の頬に、チュッと、触れるだけのキスをした。

「消毒だ」

「しゃ、しゃ、社長ーーーッ?! 」

(え? ええええ?! な、な、何してやがるんですか?! やめろーーーっ、このイケメンめ!! 私をキュン死させる気なの?! )

 バクバクッと、心拍数がMAXでハフハフッと、落ち着く為に何度も息を吐いた。

 絶対、トマトよりも真っ赤になっているわ、と頭の中で、一人パニックになる。
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