離婚するはずだったのに記憶喪失になって戻ってきた旦那が愛を囁き寵愛してきます
「結婚式には、是非呼んでくれたまえ」
「こんな可愛い人が、側で支えてくれるなら、いくらでも頑張れるな! 」
(…… なんか外堀を、ドンドン埋められている気がするのは、私だけ…… ? )
口々にお祝いの言葉が掛けられるが、トントン拍子に進んでいく出来事に、頭が追いつかず、私は隣でニコニコと、微笑むだけだ。
(ヤバい……、作り笑いで頬が攣りそう…… )
「蓮斗さん、どう言う事なのか、説明して下さる? 」
黒留袖に、帯は、金糸銀糸に格式高い織りの袋帯で、おめでたい席にふさわしい二重太鼓帯結びをした、目尻が少し吊り上がり、口元に色っぽい黒子がある、婦人が声を掛けて来た。
隣には旦那様と思われる、黒紋付羽織袴という黒地の着物で、漆黒で重厚感がある、男性が立っていた。