離婚するはずだったのに記憶喪失になって戻ってきた旦那が愛を囁き寵愛してきます
「シエナ、紹介しよう、父と母だ」

 上から下までジロジロッと、無遠慮に見られ、たじろぐが、小さく息を吐いてから、挨拶をする。

「初めまして。 ご挨拶が遅くなって申し訳有りません。中園シエナと申します。 これから宜しくお願い…… 」
「お願いされたくないわ! 」

 眉間に皺を寄せて、フンッと、まるで汚い物でも見るような目で、シエナを睨む、義母。

「あなた、出身大学は何処なの?  ご両親のご職業は? 年収は? 剣菱家では四大学以外認めなくてよ、ねえ、あなた」

「そうだな、女だから、マーチまでなら許すがな。 蓮斗、身上書をすぐに持って来なさい」

(…… ひえええぇぇーーっ、身上書?! しがない二流大学卒だし、両親も普通のサラリーマンですよ、はい。 や、や、やっぱりセレブ婚なんて無理…… )

 頭の中で一人、アワアワッと、テンパっていると、

「必要ない。 私の選んだ人に口を出すなら、社長就任は放棄する。 独立して、縁を切れば済む事だ」

「なっ、我が家には貴方しか直系は居ないのよ。 そんな勝手許されなくてよ! それに、私が薦めたのは白鳥家の結菜さんよ。 彼女の家はうちとも充分に釣り合うでしょ。 さ、結菜さん、こっちへいらして」




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