離婚するはずだったのに記憶喪失になって戻ってきた旦那が愛を囁き寵愛してきます
「蓮斗さん! 私言われた通り、会場でずっとお待ちしてましたのよ」
秘書の白鳥さんは、この場におよそ相応しくない、肩を出し、胸元からチラリと覗く肌に、背中が大きく開き、横には深いスリットが入った、大胆なドレスを纏っていた。
(…… ウェディングドレスは、やめてくれて良かったけど……、何故この下品なドレスを止めなかったの、チーフ…… )
つけまつげバッチリで、濃く、派手なメイクをして、極め付けに真っ赤な口紅をつけて、むせかえるような香水の匂いを、プンプンと振り撒いる。 せっかくの美人が台無しだ。
正面から、抱きつこうとする白鳥さんに、掌で静止した。
「君には、秘書としての仕事しか、求めていない。 まあ、その仕事ぶりも、認められるものではないが……。 恋愛感情を、仕事に持ち込むなら、秘書を外れて貰う」
「そんな! 蓮斗さんのお側に居させて下さい! 私、あなたが望むなら、何でもしますわ」
そう言って、彼女は自分の胸に、社長の手を引き寄せた。