離婚するはずだったのに記憶喪失になって戻ってきた旦那が愛を囁き寵愛してきます
社長は、眼鏡の奥の瞳に、仄暗い光を揺らめかせ、吐き捨てた。
「認めて頂かなくて結構。 良い取引だと勝手に契約したり、何人も、取り引き先の娘を連れて来たりと、常々、私の足を引っ張る貴方には、程々呆れていたんです。 母親だと思うからこそ、見逃していましたが、私の邪魔をする者は貴方とて、排除する迄です。 ねえ、母さん? 」
社長の言葉に真っ青になって、必死に旦那様に助けを求める。
「は、は、母親を、脅すの?」
「うむ。 確かに、事業拡大だ!、やれパーティーだ。世界旅行に、付き合いだ! と、お前はワシらに相談もなく、好き放題にしていたからな。 湯水の如く金も使えていたが、蓮斗が社長になったら、今まで通りとは、ちと難しいな。 まあワシは、彼女次第で認めてやらんでもないがな…… 」
そう言って、ニヤニヤと、イヤらしい笑いをすると、私のお尻をペロッとひとなでした。
「ヒャッ!? 」
(モ、モ、モラハラ?! )
「貴方もですよ、会長!! 」
社長はギロッっと、父親を睨みつけた。