離婚するはずだったのに記憶喪失になって戻ってきた旦那が愛を囁き寵愛してきます
蓮斗side1

 シエナを見かけたのは、マリーを探している最中だった。

 マリーは、大きな商談相手の外交官の娘だ。 何かあれば国際問題に発展する。 マリーに近づくシエナを、誘拐でも企てている怪しい人物かと思い、慌ててSPに取り押さえさせた。
 

 しかし、俺は、やってしまったらしい。

 マリーが、怒ってシエナを離せ! と、食ってかかって来た。 小さくても、やっぱり女だな、わちゃわちゃ騒いでいる。


 俺は、SPに取り押さえられている彼女を、マジマジと見つめた。


 身長は155.6センチ位だろうか?  顎のラインで切り揃えられた、少し茶色掛かったストレートヘアに、バサバサのまつ毛に、クリクリとした二重の瞳を、苦しそうに細めている。

 ほんのりと上気して、ピンク色に染まっている頬が、妙に色っぽい。

 「ドキッ……ッ 」

 ん? ドキッ??

 苦しそうな顔を見て、ドキッっとするなんて…… 俺は変態か?! やっぱり疲れているようだ。 仕事を詰め過ぎたな……

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