離婚するはずだったのに記憶喪失になって戻ってきた旦那が愛を囁き寵愛してきます
結婚
 社長就任のレセプションパーティーで、プロポーズされてから、流石、やり手の社長だけあって、根回しが完璧だった。

 レセプションパーティーの後、直ぐに私を呼ぶ懐かしい声がした。

「「シエナ! 」」

「お父さん、お母さん!? 」

 まさかの両親の登場に、もしかして?! と、蓮斗さんの方に顔を向ける。

 両親は、ここから新幹線で一時間ほどの所に、住んでいるので、確かに、来れない事はないが、私でも殆ど帰ってない状況だ。

「入籍の前に、ご両親に挨拶を、と思って」

 相変わらずの無表情で、サラッと告げられる。

「にゅ、にゅ、入籍?! 」

 瞳が、溢れ落ちるのではないかという程、見開き固まる私に、蓮斗さんは物凄く、紳士的に両親に挨拶をする。


「本来なら、こちらからご挨拶にお伺いしなきゃいけない所、急な事にも関わらず、ご足労頂き有難う御座います。 先程、シエナさんにはプロポーズをして、了承して頂きました。 とりあえず、今日は入籍だけ先にと、思っておりまして、ご両親にもご挨拶をと、お時間を頂きました 」


「まあ、まあ、ちっとも帰って来ないと思ったら、こんな素敵で立派な人と、結婚するだなんて驚いたわ。 電話でもお話しさせて貰ったけど、蓮斗さんは、私達の事も、シエナの事も良く考えて下さってて、今日の宿泊先も、新幹線のチケットも全て、手配して下さったのよ。 しっかりした人で、安心してあなたをお任せ出来るわ。 おめでとう、シエナ」


「お母さん…… ありがとう」

 嬉しそうにお祝いしてくれる両親に、胸がいっぱいになる。


 
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