離婚するはずだったのに記憶喪失になって戻ってきた旦那が愛を囁き寵愛してきます
(…… 実は私も、このドラマチックな展開に、驚きを隠せないんだけどね…… )
嬉しさと、怒涛の展開に、冷静さを失っている様な気がするが、不思議と嫌ではない。
寧ろ本当に私で良いのか? と、そっちの心配しかない。
「蓮斗さん、やっぱり、入籍はもう少し考え…… 」
「ほら、早く行かないと! 」
もう少し考えてからにしませんか? と続けようとした私に、母が急かす様に、私の背中を押す。
「行くってどこに? 」
キョトンっとする私に、母は、
「やあね、何トボケてるのよ、区役所に決まってるでしょ! 」
「へ?! も、もしかして入籍って今すぐ?! 」
「善は急げって言うしな」
父までが、満面の笑みを浮かべ、ウン、ウンッと頷いている。
「イヤイヤ、ちょっと、それは性急過ぎませんか?! 」
アワワッと慌てる私に、母がボソッと耳元で囁いた。
「こんな優良物件逃したら、あんた一生お嫁に行けないわよ! 」
母の言葉に、私は即座にスンッと、なったのは言うまでもない。