離婚するはずだったのに記憶喪失になって戻ってきた旦那が愛を囁き寵愛してきます
初夜
「んっ……っ んんっ…… 」

 部屋に着くなり、蓮斗さんは私の唇を塞いだ。

「あっ……っ まっ…… んっんんっ…… 」

(あれれ?! 冷静沈着はどこへ行ったの?! )

 心の準備がしたくて、待ってっと、伝えようと口を開くと、ヌルッと、蓮斗さんの舌が侵入した。

 舌を絡め取られ、弄られ、何度も吸われると、頭の中がフワッと、心地よい痺れが湧き上がる。

「はっ……っ 蓮……斗さん……っ あっ……っ 」

 上顎をツツーッと、擦られ歯列も丁寧に、なぞられて、いつ息をして良いのかわからずに、ハフッと、唇を閉じようとする。

「逃げるな。 ほら、頑張って口開けろ」

 肉厚な舌が、角度を変え、何度も私の口内を往復する。

 その度に、甘い声が唇から漏れてしまう。

「ふうっ…… ンンッ……ッ 」

 唇から溢れ出た涎が、ツーッと垂れるのを、ペロッとひと舐めすると、やっと、蓮斗さんの唇が離れた。

 欲情して上気した頬が、ほんのりと赤く火照り、男だと言うのに色っぽい。

 「はぁっ……っ 」

 やっと、胸いっぱいに、酸素が行き渡たり甘い吐息を吐く。

 茹だった頭は、ボンヤリと、キスの余韻に浸っていて、上手く働かず、蓮斗の色香の漂う、顔をぽやーっと、見つめていた。

 グイッと、背中と膝の後ろに手が差し込んで、逞しい、腕に抱き抱えられる。

「ほえっ……っ?! 」

(お、お姫様抱っこ?! )

 
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