離婚するはずだったのに記憶喪失になって戻ってきた旦那が愛を囁き寵愛してきます
  シエナが気にすると思って、彼女の両親を故郷から呼び寄せた。

 好都合な事に、わりかし近くに住んでいた為、喜んで駆け付けてくれた。

 パーティーの途中で、抜け出し、ケジメとして、到着したご両親に一人先に挨拶をした。

 シエナに雰囲気の似た義父に、性格は義母似だろうか? とても感じの良い夫妻だ。


 二人は、娘の突然の入籍に驚いていたが、丁寧に説明すると、とても喜んで、快く、結婚届の保証人の欄に記入してくれた。

 もう一人の保証人は、俺の父親にお願いした。

 外堀は埋めた!

 これでもう逃げられないぞ、シエナ。

 …… なんて、本当は、パーティーの最中も、隙あらば、シエナに近づこうとする男や、あの、シエナに親しげに触れて来る、チーフから遠ざける為だ。

 いや、それも言い訳か……

 俺が、この俺自身が、結婚という形で、シエナに縛られたいだけだが……

 思わず、自分の我欲に笑いが溢れる。





 
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