離婚するはずだったのに記憶喪失になって戻ってきた旦那が愛を囁き寵愛してきます
 俺のマンションに一緒に戻ると、もう、溢れる愛欲が止められなかった。

 部屋の案内もせずに、シエナのポテリッと赤く、潤った唇を奪った。


「あっ……っ まっ…… んっんんっ…… 」

 シエナが待って、っと口を開くのも無視して、ヌルリッと彼女の唇に舌を侵入させた。

 丁寧に舌を絡めて、彼女の反応を見ながら、執拗に攻める。

 慣れていないのか、恐る恐る遠慮がちに、舌を絡めて来るのが、また俺の欲を煽る。

「んっ……っ ンンッ…… 」

 シエナから、甘い吐息が漏れ、嬉しくなる。

 どちらのものともわからない涎が、彼女の唇からツーッと垂れる。

 逃すものかと、俺はそれをペロリッと舐めとる。

 独占欲丸出しで、自分にこんなに強い感情があったのかと、驚く。

 普段は、表情が殆ど動かない俺だが、感情が無いわけじゃない。

 寧ろ、シエナに関してだけは、誰よりも熱くたぎっている。

 なのに……


「…… 先に、シャ、シャワーを浴びさせて欲しいです! 私、汗臭いですよね…… 」


 クッ……、俺はシエナの全てを、汗の匂いだって知りたいのに……。

「一緒に…… 」
「入りません! 」

 チッ、まあ良い。

 新婚生活は始まったばかりだからな、それは今後の楽しみに取っておこう。



 
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