離婚するはずだったのに記憶喪失になって戻ってきた旦那が愛を囁き寵愛してきます
新婚生活
 「シーちゃん、結婚おめでとう!! 」

 翌日、出勤すると、職場のみんなから、祝福を受けた。

「羨ましいーーーっ! まさかのセレブ婚じゃん! 」

「イキナリだったから、ビックリしたよー! おめでとう、幸せにね!! 」

 ポンっと背中を叩いたり、ウンウン、頷かれたりと、嬉しい限りだ。

 チーフは、ガッチリっと私の両手を、握りしめた。

「俺が、俺が、俺がーーーっ! 幸せにする筈だったのに…… あんな、能面みたいな社長に横から奪われるなんて……!! 」

「ありがとうございます、チーフ」

 フフフッと笑うと、

「ああーーーっ 人妻の色気が溢れ出てる…… 」

 チッ、幸せなのか、と呟いたが、私の左の薬指を摩る。

「まだ、ここには印はないから、俺にも望みはあるな」

 爽やかに微笑んだ。

「イヤイヤイヤ! 新婚ですって、私」

 手を引き戻して、苦笑いをする。

 チーフは、ツーブロックに刈り上げて、爽やかなショートマッシュの頭を、クシャリと掻き揚げ、フッと小さく、息を吐く。

「何かあったら、力になるから、いつでも言えよ」

「はい、ありがとうございます」

 男前なチーフに、私はコクリと、頷いた。


「で、な、新婚早々、悪いんだけど、大きな仕事が入った。 一年後、大物俳優と、女優の結婚式だ。 これをお前に担当して貰いたい。 出来るか? 」

 渡されたタブレットの、お客様情報を確認する。

 かなりの大物で、TV中継や、招待客も俳優女優などで、動く金額も大きな、挙式になる。

「…… やりたい! いえ、やらせて下さい! 」

 
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