離婚するはずだったのに記憶喪失になって戻ってきた旦那が愛を囁き寵愛してきます
女優さんからは、お礼と自信を貰った。
「貴方にお願いして本当に良かったわ。 一生に一度の式だから、自分の望み通りのドレスにメイクをしたかったのよ。 細やかな配慮と、こちらの希望を叶えてくれる、プロフェッショナルな仕事振りは素敵だわ。 また、何かあったら貴方にお願いするから、宜しくね」
チーフからも、一緒に頑張ってくれた仲間からも、良い評価を貰った。
「これからも、バンバン仕事回すからな! 」
大好きなメイクアップアーティストとして、やっと一人前になれた気がして、嬉しかった。
大物俳優と女優との結婚式が終わった後、火山活動も少し落ち着いたので、私も蓮斗さんの元へ行くか悩んだ末に、日本で、仕事をしながら待つ事に決めた。
大物俳優と女優との結婚式を担当して、私を指名してくれるお客様が増えて、仕事が楽しくなって来たのが大きかった。
やりたい仕事を犠牲にして、蓮斗さんの帰りを待つだけの海外生活は、それはそれで、楽しいだろうけど、仕事大好き人間の私は、きっといつか、心に歪みを生んで、後悔すると思ったからだ。
「精一杯、悔いのない様に、仕事に打ち込みたいの」
私の希望に、蓮斗さんも、
「俺も我儘言って、海外赴任させて貰っているからな」
渋々、本当に渋々、承知してくれた。
「チーフとは、必要以外に喋るなよ! 」
仕事で、毎日顔を合わせるのだから、到底無理な話だ。
相変わらず、無の表情で冗談を言う蓮斗さんを、笑顔で見送った。