離婚するはずだったのに記憶喪失になって戻ってきた旦那が愛を囁き寵愛してきます
一般家庭育ちの私は、家柄も学歴も、取り立てて何の取り柄もなく、後継ぎも作れない嫁だと、お義母様はあまり良く思っていない。
(もう何度このやり取りを、繰り返してきたか……。 )
お義母様から責められれば、責められるほど、心に暗く重いものが溜まり続け、苦しくなって溺れている様に、もがいている。
子供を授かる事が出来なくて蓮斗さんにも申し訳なく思い、罪悪感でいっぱいになって辛かった。
毎月、生理が来る度に、悲しみを心の中に押し留めなくてはいけなくて、心がプレッシャーに押し潰されそうだった。
(…… それも今日で…… 終わるのか…… )
蓮斗さんの事を想うと、切なくて悲しくて心が痛い。
だけど……、お義母様と関係がなくなるのに、ホッっとしている自分がいる事も確かだ。
「ねえ、ちょっとシエナさん聞いているの?! 」
お義母の様の金切り声が、電話口から聞こえていたが、もう私の耳には届かなかった。
(早めに荷物を纏めて、住む所探さないとな…… )