離婚するはずだったのに記憶喪失になって戻ってきた旦那が愛を囁き寵愛してきます
歪み
「少し、痩せた? 」

 二人でベットに入って、蓮斗さんの腕に包まれて、そっと、厚みのある胸板に手を這わす。

「一人だと、面倒くさくて、つい酒で済ます事が多いからな 」

「…… 私もそっちに行こうかな…… 」

 ボソッと呟いた私に、

「子供でもいれば、シエナも寂しくないのにな」

 蓮斗さんの何気ない一言に、ビクッっと身体が反応する。

「どうした? 」

「ううん…… 蓮斗さんもやっぱり、子供欲しいんだ…… 」

「…… まあ、そりゃ、いつかは、な…… 」

 チュッと、頬にキスを落とすと、私のペタンこな、お腹に手を這わせた。

 ずしっっと、子供が出来ないプレッシャーが私に重くのしかかる。

 気持ちを見透かされない様に、小さく溜息を吐いて、蓮斗さんの手をやんわりと、自分のお腹から遠ざける。

「んっ……、くすぐったい」

 彼は気づかず、丁寧に、チュ、チュっと、唇に、鎖骨、そして二つの胸へとキスを落とす。

 手が下に下りて、柔らかな太腿をゆっくり撫でる。

「あっ…… 」

 思わず声を上げたが、甘い吐息ではない。

「…… 気持ち良くない? 」

 蓮斗さんが、私に触れられているのに、濡れてない事が、悲しい。

 ここ数ヶ月、ずっと私の身体は反応しない。

 両手で顔を覆って、潤んだ瞳を隠す。

「…… ごめんなさい…… 少し、疲れていて…… 」

「気にするな。 離れて暮らすのも後少しだ。 三ヶ月後には、やっと、ホテルが完成する。 そしたら、ずっと一緒に暮らせるからな、毎日、シエナに触れられる。 ゆっくり、休むのもたまには良い」

 お休み、と触れるだけのキスをして、横になると、蓮斗さんからは直ぐに、スーッ…… と寝息が聞こえて来た。

「…… ごめんね、疲れているのに…… 」





 

 



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