離婚するはずだったのに記憶喪失になって戻ってきた旦那が愛を囁き寵愛してきます
 眠れず、ホットミルクティーを淹れ、仕事でもするか、とタブレットを眺める。

 「プルルーー……ッ、プルルーー……ッ 」

 携帯が鳴り響き、着信を確認すると、《お義母様》と表示されていた。

 暫く、ボーッと眺めていると、着信が留守電に切り替わった。

《着信12件》
《留守電メッセージ5件》


 携帯の表示を見て、はあーーーっと、深い溜息を吐く。

 留守電を再生する。

「シエナさん? 蓮斗さん帰ってるんでしょ? 今日こそはちゃんと子供作るのよ! 」

「今月の生理はどうなの? まさかまた、予定通り、来たなんて言うんじゃありませんよ! 」

「不妊に効く、良いサプリメント見つけたのよ。 直ぐに取りに来なさい! 」

「私のお友達の娘さん、三人目が出来たそうよ。 蓮斗さんのお嫁さんにって思ってた子だったのに…… なんで、貴方みたいな子供も産めない人と結婚したのかしら…… ガッカリだわ」

「そろそろ離婚も考えてみたらどう? お互いまだ若いんだし、貴方に合った人が見つかるかも知れなくてよ。 後継ぎが出来なくて、蓮斗さんの苦しむ姿、見たくないでしょ? 」

 前々から、孫の誕生を期待されてはいたが、ここ一年は、お義母さんからの、プレッシャーが特に酷くなっている。

「私的には、蓮斗さんと、一緒に暮らし始めてからでも充分だと思っていたんだけどな……  結婚三年目で子供が居ないのって、そんなにおかしいのかな…… ? 」

 
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