離婚するはずだったのに記憶喪失になって戻ってきた旦那が愛を囁き寵愛してきます

「シエナさん？　貴方も見送り？　」

　ポンッと肩を叩かれて、ビクッとして、振り返ると、そこには何故かお義母様がいた。

「お義母様…… ？　」

「なぁに貴方、幽霊でも見た様な顔して。　顔色、真っ青よ　」

「叔母さま！　あ、お義母様かしら？　キャハッ　見送りに来てくださったんですね　」

　嬉しいですぅーっと、白鳥さんはお義母様に抱きつく。

「蓮斗さんもこの便ね、聞いておいて良かったわ。　結菜さん、あっちで待ち合わせする必要なくなったわね。一緒に行けるわ　」

「少しでも早く会いたかったから、嬉しいですわ。　蓮斗さんは先に搭乗してる様なので、私も行きますわね。　シエナさん、お義母様、それでは　」

　足取り軽く、白鳥さんは搭乗口に、消えて行った。

（…… 待って……？　どう言う事……？　白鳥さんと蓮斗さんは、向こうで会う約束してたって事…… ？　）

　二人の会話に、理解が追いつかない。

　呆然と立ち尽くす私に、お義母様が、会えて良かったわ、とバックから封筒を取り出した。

「…… 何ですか、これ？　」

　封筒の中身を取り出して、みるみる顔が歪むのを感じ、手足が震えてきた。

　震えは抑えようとするほどに、段々と大きくなっていく。