離婚するはずだったのに記憶喪失になって戻ってきた旦那が愛を囁き寵愛してきます

「…… 離婚……届……？　」

　声まで震えて、上手く言葉が出ない。

　目を白黒させて、落ち着きをなくした私にお義母様は、眉毛を八の字にした。

「もう、蓮斗さんを解放してあげて頂戴。　あの子は優しいから自分から、欠陥品の貴方を捨てる様な事出来ないのよ。　だから、ね、貴方から、蓮斗さんの事を想うなら、別れてあげて。　もう三年も経っているんだし、私達も、周りから孫の話されると辛いのよ。　わかって頂戴　」

「あ…… 」

　お義母様の言葉が、ズキッと胸に突き刺さる。
　
　だけど、反論する言葉が見つからない。

　だって…… 全部本当の事だから……


「良く、考えて頂戴ね　」

　視界が歪んで、目の前が真っ暗になる。


　その後、どうやって家に帰って来たのか、覚えていなかった。

　どのくらい、そうしていたのかわからないが、まだ蓮斗さんからの、到着メッセージは届いていなかった。

（…… 私、いらないのか…… ）