離婚するはずだったのに記憶喪失になって戻ってきた旦那が愛を囁き寵愛してきます
 蓮斗さんと一緒に、夕食を食べ終えて、久しぶりに、ソファーに二人並び、寛いでいる時に、意を決意して、私は口を開いた。

「蓮斗さん、相談したい事があるの」

 思い詰めた様な顔をした私を見つめ、帰ってきた、返事に、ドキリッとする。

「ああ、俺もだ。 最近連絡が取れなかったから、気になってはいたんだ。 どうした? 」


「…… その…… 白鳥さんの事なんだけど…… 」

 「白鳥の事は、いい。 それよりも、俺達夫婦の話をしよう」

 白鳥さんの名前を出した途端、いつもより、低い声で拒否されて、一気に緊張感が増す。

(こんなに不機嫌になるなんて、私には口を出すなって事か……  夫婦の話って、やっぱり…… ! )

 弱気になる私に、蓮斗さんが先に口を開いた。

「来週にはホテルがオープンする。 やっとだ! 暫くはまだ、行き来しなければならないが、ここまで来れば先は見えた。 シエナ、お前はどうしたい? 」

 蓮斗さんの問いに、心臓がギュッっと、鷲掴みにされた様な気がした。

(…… どうしたいって……、私は離婚は、したく、ない…… )

 震える手をギュッっと、握りしめる。
 
 否定されても、それでも自分の気持ちをちゃんと、伝えなくちゃ……

「…… 私は…… 子供が、赤ちゃんが…… 欲しい…… 」

 蓮斗さんは、目を大きく見開いて、私を見つめた後、ハーーーーッっと、深い溜息を吐いた。

「…… そうか…… 」

 蓮斗さんが、おいでと、私をベットに誘う。



 




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