離婚するはずだったのに記憶喪失になって戻ってきた旦那が愛を囁き寵愛してきます
 最近、シエナの様子がおかしい……。

 一か月ぶりに帰国して、一緒のベッドで寛いでいると、

「…… 私もそっちに行こうかな…… 」

 ボソッとシエナが呟いた。 仕事がひと段落着いたからだろうか? あんなに楽しそうに仕事をしていた彼女が、珍しく、こんな事を言うなんて……。 

いや、もちろん、俺は大歓迎だが……。

「子供でもいれば、シエナも寂しくないのにな」

 シエナにソックリな娘だったら、絶対可愛い筈だ! 息子なら、俺、100%ヤキモチ妬くな、うん。

 何気なく言った一言に、シエナは敏感に反応を示した。

 ん? 子供苦手だったろうか? いや、マリーとあんなに仲良くしてているし、そんな筈はないな。

 「…… 蓮斗さんもやっぱり、子供欲しいんだ…… 」

「…… まあ、そりゃ、いつかは、な…… 」

 入籍してからは、もうすぐ三年になろうとしているが、月一ペースで会うだけだから、30回程しか愛を育んでいない。

 うん、まだまだ、俺だけを見ていて欲しい。

 もちろん、授かりものだから、出来たら出来たで嬉しいが。


 シエナに触れたくて、チュ、チュっと、唇に、鎖骨、そして二つの胸へとキスを落とし、柔らかな太腿をゆっくり撫でる。

「あっ…… 」

 反応はするが、シエナはまだ潤っていない。

「…… 気持ち良くない? 」

 ここ数ヶ月、シエナの身体はあまり反応しない。

 マンネリか?! それとも俺に飽きたのか?! 

 心配になって、顔を覗き込む。

 シエナは慌てて、両手で顔を覆って、潤んだ瞳を隠す。

「…… ごめんなさい…… 少し、疲れていて…… 」

 クッ……ッ、そんな顔をさせるつもりじゃなかったのに、悪い事をした。

「気にするな」

 もうすぐ、ホテルが完成する。

 そしたら、誰にも遠慮せず、一緒にいられるからな。

 思う存分、甘々な時間を過ごそう。

 想像して、ニヤニヤしながら、俺は夢の中に落ちていった。



 
< 99 / 205 >

この作品をシェア

pagetop