「今日、クリスマスってよ」
水原りの

「今日クリスマスってよ」
「知ってる」

窓の外には寒空が広がっていて、ちらほらと雪が降り始めていた。


「じゃあなんで俺らは補習してるんですかね」
「バカだからじゃないですかね」


寒い教室にたった2人。

課題プリントとにらめっこしながら、横でペン回しをしてぼやく瀬尾に相槌を打つ。


「あー……。今日、クリスマスってよ」


いや、それさっきも聞いたんだけど。


「だから知ってるって。もーうるさい。そんなに喋ってるけど終わったの?」


問題はわからないし、雑音はするし、目の端でくるくると回るペンのせいで全然課題が進まない。

とどのつまり八つ当たり。


「こんなのが解けたらそもそも補習に呼ばれてないっつーの」

それは……まぁ、そうだけど。


「終わってないんじゃん」

真面目にやんなよ。

そんな思いを込めて隣を見れば、いつのまにかこちらを向いていた瀬尾とばっちり目があった。

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