「今日、クリスマスってよ」
水原りの
「今日クリスマスってよ」
「知ってる」
窓の外には寒空が広がっていて、ちらほらと雪が降り始めていた。
「じゃあなんで俺らは補習してるんですかね」
「バカだからじゃないですかね」
寒い教室にたった2人。
課題プリントとにらめっこしながら、横でペン回しをしてぼやく瀬尾に相槌を打つ。
「あー……。今日、クリスマスってよ」
いや、それさっきも聞いたんだけど。
「だから知ってるって。もーうるさい。そんなに喋ってるけど終わったの?」
問題はわからないし、雑音はするし、目の端でくるくると回るペンのせいで全然課題が進まない。
とどのつまり八つ当たり。
「こんなのが解けたらそもそも補習に呼ばれてないっつーの」
それは……まぁ、そうだけど。
「終わってないんじゃん」
真面目にやんなよ。
そんな思いを込めて隣を見れば、いつのまにかこちらを向いていた瀬尾とばっちり目があった。
< 1 / 62 >