「今日、クリスマスってよ」
怖くて後ろを振り向けない。
わかんないよ。
瀬尾がなに考えてるか、全然わかんない。
頭の中がぐちゃぐちゃでなにがなんだかわからないけど、これだけはわかる。
こんな顔、見られたくない……!
瀬尾に彼女がいたから悲しくて泣きましただなんて、きっと瀬尾も困るはず。
瀬尾に追いつかれたくない一心で、走り出そうとした時。
かくん。
さっきまで全力疾走してたせいか、足に力が入らず、膝から崩れ落ちそうになった。
あっ、やばい。
こける……!
反射でぎゅっと目を瞑る。
でも、訪れるはずの衝撃が私を襲うことはなかった。
「っぶねぇ……」
息を切らした声。
背中に伝わる熱。
「大丈夫か?」
後ろから抱き抱えるように受け止めた腕は力強く、私を支えて離さなかった。