「今日、クリスマスってよ」
そんな瀬尾だから好きになった。
だから瀬尾の好きな人が私じゃないことが、わかっていてもすごく悲しいんだ。
全部、私の自分勝手な感情だ。
「なぁ、まじで大丈夫か? 具合悪い?」
瀬尾の声の優しさに、じわりと視界がぼやける。
大丈夫だよって。
だから心配なんてしなくていいんだよって。
そう声に出せば良いのに、口を開けば溢れてくるのは涙だけで。
やっとのことで出来たのは、首を横に振ることだけだった。
そんな私に呆れるどころか、背中をさすってまでくれる瀬尾に、びくりと身体が震える。
きっと瀬尾にとってはなんでもないその行動に、変に大袈裟な反応をしてしまったと後悔するも、その手は止まらなかった。
こういうところに、また好きになってしまうんだ。
その気持ちは、自分の首を絞めるだけだとわかっているのに。
……瀬尾のバカ。
彼女がいるんだったら、こういうことしないでよ……。