「今日、クリスマスってよ」
「顔、拭きな?」
にっこりと笑顔でそう言った佑香先輩は、思わず見惚れてしまうくらいかわいかった。
……って惚けてる場合じゃないでしょ、私。
ちゃんとお礼言わないと。
「あ、ありがとうございます……」
それに笑顔でうんと頷いてくれた佑香先輩に、震えはいつのまにか止まっていて。
……優しい人で良かった。
だって、これなら諦めもつく。
貰ったティッシュで顔を拭けば、涙に鼻水に、直接見てはいないけど酷い顔をしているのがわかる。
私がこんな顔で外を歩いたって、先輩には関係ないはずなのに。
まるでそうするのが当然と言わんばかりに、私を引き止めてティッシュまで渡してくれた先輩。
優しくて、美人で、でも笑った顔は可愛くて。
何もかもが到底及びそうもない。
こんな先輩が瀬尾の彼女だなんて、すごくおめでたいことだし、私にとっても未練を残さずに済みそうだ。
……今すぐにっていうのは無理だけど。