「今日、クリスマスってよ」
えっ、なに。
「水原」
みるみると近づいてくる顔。
え、えっ、本当になに?
ちょっとまって。心の準備が……!
「ここ、間違えてんじゃん」
なにを期待してか、きゅっと瞑った瞳。
にも関わらず予想外の指摘にぱっと目を開けば、瀬尾の視線はとっくに逸らされていて。
その外された視線の先を辿れば、瀬尾の指がプリントの1箇所を指していた。
「あ、ほんとだ」
確かに計算ミスしてる。
……ていうか。
すごいびっくりした。
だって目があったまま、近づいてくるから。
「キス」
隣でぽつりと落とされた言葉。
ばっと視線が瀬尾へと移る。
「されるかと思った?」
にやりと笑うその顔に、かっと熱が上る。
「知らない!」
そう吐き捨てて、もう一度課題へと視線を戻す。
バクバクとなる心臓は、未だに鳴り止まない。
……それどころか、むしろ大きくなった気がする。