「今日、クリスマスってよ」

きゅっと抱きしめる力を強めれば、さらに力強く抱きしめられて。

それにまたドキドキして。

どんどん強くなる力が嬉しくて……。


……いや、嬉しいよ。嬉しいんだけどさ。

流石にちょっと苦しい……!


「ちょ、苦しい!」
「あ、わりぃ」

弾かれたように離された身体。

途端に空いた距離のおかげで見えた瀬尾の顔は、どこか焦っているようで。


「別にいいけど。……ふふっ」

潰されるかと思った。

そう言って笑えば、手で顔を覆いながら謝る瀬尾に余計に笑いがこみ上げてくる。


「……笑いすぎだろ」

拗ねたような顔でこっちを見る瀬尾が可愛くて愛おしい。


「だって、なんだかすごく嬉しいから」

こうやって気持ちが通じ合って、抱きしめる力の強さに言い合うことができて。


「私、すごい幸せ」

そう、幸せなんだ。

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