「今日、クリスマスってよ」
「だから知ってるって。もーうるさい。そんなに喋ってるけど終わったの?」
でも水原は特にそうでもないらしいのがよく分かる。
視線が意地でもこっちを向かない。
いや確かに補習に来てるんだから水原の態度が正しいんだろうし、そういうやるべきことをきちんとやるところも好きだけどさ。
でも、好きな子にクリスマスを意識して欲しい、もっと言えばクリスマスに俺と2人でいるという事実を意識して欲しいという俺の思いだって、キモくはあれど間違いではないだろ。
……いや、水原に迷惑かけてる時点で正しくはないのか?
「こんなのが解けたらそもそも補習に呼ばれてないっつーの」
未だ空白の多いプリントを横目に、元も子もないことを言う。
つーか水原だって全然終わってねぇじゃん。
俺のと同じくらい白い水原のプリント。
あ、あそこ間違えてる。
「終わってないんじゃん」
あ、やべ。
水原が急にこっちを向いたせいで、逸らし損ねた目がばっちりと合ってしまった。