「今日、クリスマスってよ」

カタン。

ペンを置く音が静かな教室に響く。


なんとか最後まで終わった!

わからないところはいっぱい飛ばしたけど。


後は先生の元へ行って教えてもらえば、今日はもう帰っていいはず。


「終わった?」

そそくさと教科書や筆記用具を片付けていたところに、横から声がかかる。


「まぁ、一応」

視線は動かさないまま、物を入れ終えた鞄のチャックを閉めていると、ガタンと椅子を引く音がした。


「なら行こうぜ」
「はっ!?」

さっさとここから離れたい。
その思いで必死に終わらせたのに。


「え、終わったの?」

一体いつのまに?

「おう」

そう答える瀬尾の机の上は、確かに綺麗に整頓されていて。


気づかなかっただけで、私よりも早く終わってたみたい。


……だったら、先に行ってくれれば良かったのに。

ていうかむしろ今からでも遅くないから先に行って欲しい。


なーんて言えるわけもなく。


結局2人で先生の元へと行く羽目になってしまった。

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