「今日、クリスマスってよ」

……そりゃそうだよね。

美人な彼女と一緒に過ごすはずが、私みたいなやつと2人で補習だなんて。


あぁもう、なに浮かれてたんだろ。


例え補習でも、瀬尾と居れることが嬉しいなんて。
もしかしたら神様からのクリスマスプレゼントなのかも、なんて本気で思っちゃったりして。


「……ふっ……うぅ」


視界が滲むのは、きっと雪が目に入ったせい。
胸がズキズキと痛むのは、走っているせい。

そう思わないと、惨めで足元から崩れ落ちてしまいそうだった。


だって、少しだけ期待していた。


交わる視線が他の人とは違うような気がしたり、私にだけちょっかいをかけてくるくせに妙に優しかったり。


でも違ったんだ。

全部全部勘違い。ただの思い上がり。

本当に恥ずかしいし、情けない。


いっそのこと、この世から消えて無くなってしまいたい。

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