記憶のカケラを拾って
「私ね、ものすごく大切な何かを忘れてる気がするんだ。」

「えっ?」

「でも思い出そうとするとすごく頭が痛くなるの。」

「大切な何か、って?」

「んーわからない。でも大切な気がするんだよ…。それが思い出せなくて苦しい。」

「焦らなくていいんじゃない?音のスピードでさ。」

「私のスピードで、かぁ。そうだね、そうする!焦らないようにするね!ありがとう梨奈!!」

まただ、また梨奈が寂しそうな顔をした。
あの時もやっぱり気のせいじゃなかったのかも知れない。
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