記憶のカケラを拾って
「いいよ、たくさん泣きな。」
その言葉がすごく響く。
もう声も出なくて…首を振ることしかできなかった。
こんなカッコ悪いところこれ以上見せたくない…。
「我慢しなくていい、俺はここにいるよ」
限界だった。
私は恥ずかしいくらいあ天月くんの胸の中で泣いた。ずっと私の頭を撫でてくれている。

天月くん、冷たい人だと思ってたのに本当はすごく優しい人だった。

「わかんないの。」

「何が?」

「私と梨奈とお母さん、天月くんも。」

私は一瞬寂しそうな顔をした天月くんを見逃さなかった。

「天月くんまで…。どうしてみんな私に隠れて寂しそうな顔をするの?何を隠してるの!?」

「音…。」

「梨奈…?」
< 21 / 50 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop