記憶のカケラを拾って
無言を破ったのは梨奈だった。

「音、いいの?」

「なにが?」

「愁くんのこと」

「いいもなにも天月くんはもう私のじゃないよ。」

「音はそれで幸せ?」

「ううん、まだ幸せじゃない」

「え?」

「だって2人がまだ幸せそうじゃないから。そうさせたのは私なんだけどね、でもやっぱり2人には幸せになって欲しいの。たくさん辛い思いをさせたんだから、私が同じくらい辛い思いしなきゃって…。だから私の償いを手伝ってると思ってよ!そしたら少しは楽でしょ?」
私はニコッと微笑んだ。

「音…」

「梨奈、よく聞いて」

「うん、なに?」

「私は何があっても梨奈の親友をやめないよ。梨奈に裏切られても友達じゃないって言われても私は梨奈が大好きな親友だって言い続けるよ」

「うっ…!音…。」

「あー!ほら泣かないで、ね??」

「ごめんね、ほんとにごめんね…」

「なんで謝るの?」

「だって…同じ…人を…好きに…っ!」

「それはさ、仕方ないよ。人は1度好きって思ったらずっと好きなんだもん。止められないよ。」

そうだよね、好きって思いは簡単に止めれない。
ごめんね、愁。
愁もきっと同じなんだね…。



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