ねぇ待ってそれ聞いてないっ!
「……めんどくさ。存在が邪魔」
「泣いた」
「勝手に泣いとけば?」
「ねぇ、辛口過ぎない?」
声を上げれば怒られるからと子どもっぽく通せんぼをすれば、呆れた顔に加えて辛辣な言葉が飛んでくる。酷い。
今日はやけに切れ味が鋭くて、大事な幼なじみと会話のキャッチボールをするほどの気力もないらしい。
視線が交わらないのは……ちょっと寂しいな。
ただ、私への当たりが強く、気だるげな姿さえもかっこよく見えてしまうのは、私がマゾ気質だからか。
それとも、恋する乙女のフィルターがかかっているのか。
まぁ、たぶん、どっちもだ。
「いつものこと」
「そっかー、辛口なのはいつものことかー。それならいいか!」
「………」
「……いや、良くないじゃん!騙されるところだった!!」
「うるさい」
ぎゃーぎゃー騒ぐ私をまたしてもひと睨み。
視線が冷たすぎてそろそろ泣いちゃいそう……。