わたしのカレが愛するもの
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その翌日から、コウくんは予定どおり忙しい日々を送るようになった。
大学で働く傍ら、空いた時間は彼らと一緒に日本各地を飛び回り、いろんな人と会い、新たな人脈を築き、興味深い施設や活動を見学。
魚のことでいっぱいになった彼の頭の中からは、十二月二十四日はクリスマスイブだという情報は、キレイにはじき出されてしまっているようだった。
万が一、サプライズで帰って来るかも、という淡―い期待を捨てきれず、ローストターキー、ニース風サラダ、クラムチャウダー、サーモンのパイ包み、クリスマスプディング、ジンジャークッキーも作ってみた。
けれど、午後八時を前にしても、もうすぐ帰るというメッセージも、メリークリスマスのスタンプも届かなかった。
真っ暗なままのスマホの画面に絶望感を覚え、鞄に放り込もうとして、入れっぱなしだったハガキ大のカードに気がついた。
梨々花経由で貰ったそれは、仕事仲間が企画した「おひとりさま限定 クリスマスパーティー」の招待状。合コンではなく、単にクリスマスにかこつけて、仲間と楽しく騒ごうぜ!というのがその趣旨だ。
仕事絡みではないパーティーに参加した経験は、片手でも余るほどしかなかったけれど、ひとりでコウくんの部屋にいるのが耐えきれず、部屋を飛び出し……ココにいる。