わたしのカレが愛するもの
それは、わたしが思い描いていたようなプロポーズではなかった。
けれど、嬉しくて、幸せで。
泣きたいくらいに好きだという気持ちが溢れ出して、喉を詰まらせて。
声が出なくて、頷くしかなかった。
「んっ!」
三歳のコウくんが二歳のわたしにしたプロポーズ。
その時のわたしもきっと、いまのわたしと同じ気持ちで頷いたのだろう。
どこで、どんな風に言われたのか、まったく憶えていなくても、そうだと確信をもって言える。
どうしてなのかなんて、わからないくらい当たり前に。
いつからかなんて、わからないほど昔から。
これが恋だと気づく、ずっとずっと前から、コウくんのことが大好きだったから。