わたしのカレが愛するもの
第六章
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「ただいま……」
数時間ぶりに戻ったコウくんの部屋は、わたしが出て行った時と多少様変わりしていた。
リビングの床には大きなスーツケースが二つ転がり、何が入っているのか謎の箱が三つ積み上げられている。
コウくんは、後片づけよりも、空腹を満たすことを優先したいと訴えた。
「ね、この料理食べていい? おなか減ってるんだよね」
「もちろん! いま温めるから、シャワーしたら?」
「シャワーは……あとにする。一緒に入った方が効率いいし。とりあえず食べたい」
「うん……ん?」
何やら聞き捨てならない台詞が聞こえたような気がしたが、急いで電子レンジで料理を温める。
それなりに美味しさを取り戻した料理をテーブルに再び並べ直し、すっかり温くなったシャンパンを冷蔵庫へ戻し、代わりに赤ワインを持ち出し、小さなクリスマスケーキを二等分にする。
いつものように手伝ってくれたコウくんは、席につき、「いただきます」と言うなり、ものすごい勢いで料理を食べ始めた。
「……そんなにお腹空いてたの?」
「……うん。朝から何も食べられなかった」
「え? どうして? 何かあったの?」
「ちぃのせいだよっ!」