わたしのカレが愛するもの
第六章


*****



「ただいま……」


数時間ぶりに戻ったコウくんの部屋は、わたしが出て行った時と多少様変わりしていた。

リビングの床には大きなスーツケースが二つ転がり、何が入っているのか謎の箱が三つ積み上げられている。

コウくんは、後片づけよりも、空腹を満たすことを優先したいと訴えた。


「ね、この料理食べていい? おなか減ってるんだよね」

「もちろん! いま温めるから、シャワーしたら?」

「シャワーは……あとにする。一緒に入った方が効率いいし。とりあえず食べたい」

「うん……ん?」


何やら聞き捨てならない台詞が聞こえたような気がしたが、急いで電子レンジで料理を温める。

それなりに美味しさを取り戻した料理をテーブルに再び並べ直し、すっかり温くなったシャンパンを冷蔵庫へ戻し、代わりに赤ワインを持ち出し、小さなクリスマスケーキを二等分にする。

いつものように手伝ってくれたコウくんは、席につき、「いただきます」と言うなり、ものすごい勢いで料理を食べ始めた。


「……そんなにお腹空いてたの?」

「……うん。朝から何も食べられなかった」

「え? どうして? 何かあったの?」

「ちぃのせいだよっ!」


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