わたしのカレが愛するもの
「それなのに、俺の部屋に来て、平気で生足に短いスカートでベッドに寝転がるし。バレンタインデーだって、いきなり脱ぎ出そうとするし。結婚するまで手を出すな。もし手を出したら、結婚させないだけじゃなく、日本から追放してやるって朔哉さんに言われて、必死で我慢してたのに。いったい、どれほど試練を与えれば気が済むのか、逆ギレしそうだった」
「…………」
「旅行に行くのはいいけれど、泊まりじゃなじゃイヤだとか言い張るし。ジャグジーも一緒に入りたいって言い張るし。いくら水着着用だからって、襲わないでいるのにどんだけ精神力がいると思ってんの? 悟り開けるレベルだから」
「……ごめん、なさい」
「それなのに……。俺が必死で我慢してたのに、簡単に昴にキスさせようとしてるし。はらわた煮えくりかえりそうだった」
「あ、れはっ」
「あらゆる手を使って、アイツとちぃが会わないようにしていたのに、まさかいまになって帰国するとは……完全に、油断してた」
「え? ど、どういうこと……?」
「アイツ、ちぃが自分と同じ小学校に入学するって聞いた途端、『ぼくが、千陽ちゃんのナイトになってあげる!』なんて言いやがったんだ」
(こ、コウくん……キャラが尽パパそっくりに……)
「え、ええと、それ、もしかして……」
「即刻、朔哉さんに報告してやった。朔哉さんのおかげで、アイツはロンドンに引っ越して、まんまとむこうの全寮制学校に入ってくれて、心の底からホッとした。あとは、コバエを追い払うだけでよかったから」
(も、もしかしてハジメ伯父さんが転勤になったのって……パパとコウくんがタッグを組んでたなんて……無敵すぎる)
「ちぃ、どんだけ俺がちぃのこと好きか、わかってんのかよ?」
「えっ! う、うん……たぶん?」
「たぶんって、なんだよ?」
「そ、それはっ、だって……」