わたしのカレが愛するもの

***


空港をあとにして、賑わう市場を覗き、ラーメンを食べ、コウくんのマンションへ帰りついたのは日暮間近。

ポストには、エルサが言った通りに最後のイヤガラセが届いていた。


「俺宛て……だけど、中身はちぃ宛てだね?」


封筒の中には、さらに封筒が入っていて、そこにわたしの名前が書かれていた。


「誰からだろう?」


差出人の名前がなく、コウくんは首を傾げている。


「エルサからよ。最後のイヤガラセだって」

「は? アイツ……また、ちぃに何か言ったのか?」

「大丈夫。わたしも負けずに言ってやったから」

「え?」

「コウくんにとって、魚類が一番なのはわかってる。彼らは海で、わたしは陸でコウくんを幸せにする。コウくんがいくら魚類を好きでも愛し合えないんだからって。ちなみに、この封筒にはコウくんの元カノの写真が入ってるらしいわ。浮気されてフラれたんだって?」

「は? 元カノ? そんなのいないけど」


コウくんは、きょとんとした顔で首を傾げる。


「えー? 本当に?」

「本当だよ。ちぃがいるのに、なんでほかの女をかまう必要があるの?」


嘘を言っているようには見えない。
けれど、写真という証拠がある。


「潔白を証明するから、さっさと開けて」


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