わたしのカレが愛するもの

急かされるままに、オープナーを使わず手で開けると、中には三枚の写真が入っていた


「……イルカ?」


抱きしめたり、キスするみたいに顔を寄せたり、水中で並んで泳いだり。
一頭のイルカとイチャつくコウくんが写っている。

エルサが言ったように、コウくんはとてもいいカオ――めちゃくちゃいい笑顔をしていた。

わたしの膨大なコウくんコレクションの中でも、これに匹敵するものは、一枚あるかどうか。


「うわ、懐かしいなぁ。イルカの生態を観察するプロジェクトの時に知り合った彼女でさ。めちゃくちゃフィーリングが合って……」


写真を見たコウくんは、嬉しそうに指でイルカをなぞる。


「……彼女?」

「雌だからね!」

「……元カノ?」

「ちぃ。冷静に考えてあり得ないってわかるでしょ?」

「でも」


愛おしく思っているのがわかるまなざし。
優しい手つきと柔らかな口調。

コウくんの動作、声音、表情、すべてがそのイルカは彼にとって、特別な存在だと示していた。


「あのね、ちぃ……」


コウくんは、呆れながらもわたしを宥めようとする。


「意思疎通が図れると言っても、イルカはイルカだから」

「でもっ!」

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