未知の世界7
その後どうやって寝室に行ったのか覚えていない…
次に目を覚ました時、一瞬どこだか分からなくて、アメリカにいた時のような感覚だけど、すぐに孝治さんとのマンションだと気づく。
隣には誰もいない…時計に目をやると…
そうか…孝治さんは出勤かな。
そう思いながら、知らない間に着ていたパジャマのまま、リビングへ向かう。
リビングの扉を開けると…そこにはお父さん。
『おはよう、かなちゃん。』
「おはようございます。」
ソファでコーヒーを飲んでいるお父さん。
「孝治さんは?」
『今日は仕事で、もう出て行ったよ。
かなちゃんは僕と病院に行こうね。』
あぁそうだった…昨夜、言われたんだ。
今日は検診だって…
『ご飯はできてるから、慌てずしっかり食べて、準備ができたら行こうね。』
それだけ言うと、持っていた新聞を広げて読み始めるお父さん。
返事をして、ご飯前にアメリカで処方してもらった薬を取り出そうと思い、昨日のままになった旅行カバンを開けた。
「あれ?」
洗濯するはずの服が…ないな。
『あぁ、汚れた服はお母さんが持っていったよ。
昨日はお母さんも疲れていたから、家に帰って。その時にかなちゃんが無理しないようにって、全部持って帰ったからね。
また洗濯物を持って来るから、かなちゃんはゆっくり休むんだよ。』
お母さん…日本に帰って来たのにそんなことまでさせて…申し訳ない。
そんな私の気持ちがわかったのか、
『なぁに、心配することないよ。
お母さんはかなちゃんのことを本当に大事に思ってるんだ。
薬だって、向こうで欠かさず飲まされただろ?』
う…そうだった。サボれなかったんだ。
『お母さんがやりたくてやってるんだよ。
気にしなくていいよ。』
そう言われて半ば納得しながら、薬を取り出し、食卓で飲むと、目の前に用意されたご飯を食べた。